寺脇康文さんがイメージ以上のゲジヒトでした!
昨日、舞台『プルートゥ PLUTO』東京公演感想ネタばれアリ!前編を書きましたが、書き切れなかった想いを「後編」にまとめます。
寺脇康文さんは、ゲジヒトという高性能ロボットの刑事役で出演されました。
髪の毛を明るい茶色に染められて、原作マンガ『PLUTO』に描かれているゲシヒトそのものですし、声音は二枚目ボイス!!
観ごたえも聴きごたえも、充分ですっ!
悪夢にうなされるシーンでは、ゲシヒトの寝室一面に原作マンガ『PLUTO』の息子を殺害された場面と、ゲジヒトが殺人犯を殺してしまう場面が映し出されます。
その中から「ガバッ!」と寺脇さん演じるゲジヒトが飛び起きるので、まるで2次元の人物が3次元に飛び出してきたかのようです。
永作博美さん演じるヘレナとのやりとりでは、存分にゲジヒトの優しさが感じられますし、森山未來さん演じるアトムと永作さん演じるウラン(2役)との出会いのシーンでは、少しお茶目な一面も観られます。
私が勝手に原作を読んでイメージしていたゲジヒト以上に、寺脇さんが演じられたゲジヒトはあたたかくて繊細で、正義感に溢れていました。
憎しみという感情を知ってしまったからこそ、赦しとか愛のような感情もゲジヒトは持っているんじゃないかなぁ。
記憶は消されてしまったものの、息子のロビタと過ごした時間の中で、愛を知り。
ロビタを殺害されたから、憎しみを覚えて…犯人を殺してしまうまでになるのですが。
「憎しみからはなにも生まれない。前へ進むんだ」と…体言しておられました。
花売りロボットのアリに、ゲジヒトがこんなことを語ります。
(台詞の内容は正確ではありません)
ゲジヒト「希望を持つんだ」
アリ「キ、ボウ?キボウって?」
ゲジヒト「前を見つめることだ。後ろを向くんじゃない、前を見つめることだ」
原作にはないこの台詞に、ゲジヒトの優しさと強さが感じられて、とてもとても大好きです。
アリの肩に手を置いて、ゆっくりと紡がれる言葉。
ゲジヒトはロボットなんだけれど、そこには心が感じられました。
アトムやウランもロボットなんだけれど、感情というものを理解…しかけているから、人間以上に人間らしい心が見えたのかもしれません。
森山さん演じるアトムも、まるで原作の中から抜け出してきたようなアトムでした。
ダンサーの皆さんがアトムの背後で、動きを操っているような仕草をする場面では、森山さんが本当のボットのようなのです!
大好きなのは、道にいたカタツムリを発見して、アトムが植木の中へ戻してあげるシーン!
森山さんとダンサーの皆さんの一連の動きに、見惚れました!!
第1幕と第2幕でそれぞれ1回観られるのですが、何度観ても美しい!!ゾクゾクします!
ゾクゾクすると言えば、森山さんとダンサーの皆さんのダンスにも興奮しました!
「どんな身体の構造になれば、こんな動きができるんだろう?」と、アゴが外れそうなほどです。
ふわりと舞ったり、荒れ狂うように激しさを増していったり、まさに変幻自在!
永作さん演じる、ヘレナとウランもそれぞれ魅力的でした!
ヘレナはヒールのあるブーツを履いて、ウランはぺたんこの靴。
なので寺脇さんと並ぶシーンで、永作さんの身長差が楽しめます!
ヘレナのときはとっても大人な女性なのに、ウランになるとキラキラな少女に変身!
背後で永作さんを操る、ダンサーの皆さんもウランのときには「キラキラーン」な輝きを、手で表現されているのがカワイイんです!
お気に入りなのは、ウランが「よくわからないよ」というときに、背後のダンサーさんが「?」のマークを手で表現されるシーンです。
ウランが頬を膨らませるシーンも、背後のダンサーさんとのコンビネーションが、たまりません!
背後で役者さんを操る仕草をされているダンサーさんを、私は初めて観ました。
操る仕草といっても、それぞれのダンサーさんたちから感情が感じられます。
1つの役を計4人で表現されている空間は、とても面白く不思議な感じでした。
柄本明さん演じる、天馬博士は悲しみの中で優しさを堪えておられる感じです。
お父さんの心が強く伝わってきて、原作の天馬博士よりも、強く親近感を持ちました。
ゲジヒトを亡くしたヘレナを励ますシーンも、とても大好きです。
ヘレナからゲジヒトのメモリーチップを受け取るシーンで、天馬博士がメモリーチップを「魂」と呼ぶのですが、柄本さん演じる天馬博士から出た「魂」という言葉は、温かみが込められていて、救われた気持ちになりました。
柄本さんは、ブラウ1589の声も演じられています。
ゲジヒトに対して、少し早口でたたみかける感じが、「なるほど!ブラウ1589!」と思わず前のめりの姿勢になりました。
ダンサーさんが操るブラウ1589も、とても表情豊かです!
長く伸びる腕がブラウ1589の言葉と共に、活き活きしていてたまりません。
アトムと対するシーンもあるのですが、個人的にはゲジヒトとブラウ1589のシーンが大好きです。
吉見一豊さん演じる、お茶の水博士はやわらかな雰囲気で、アトムやウランが慕うのも納得な方でした。
厳しい父親というよりは、優しい親戚の叔父さんみたいな?←いい意味で
親には言えないようなことでも、叔父さんになら話せちゃう!みたいな…お茶の水博士、アトムとウランならではの強い信頼関係がいいんですよねー!!
アトムとウランを愛してやまないお茶の水博士が、天馬博士に「アトムは素晴らしい!」と感情的に力説するシーンは、ときめきました。
吉見さんは、Dr.ルーズベルトの声も演じられています。
Dr.ルーズベルトはクマのぬいぐるみで、動くことはないのですが、吉見さんの声の表情が豊かなので、クマにもいろんな表情が現れるようでした。
Dr.ルーズベルトを演じられるときの、子どもっぽい感じの声音が、とてもツボです!
松重豊さん演じる、アブラー博士の底冷えするような憎しみオーラは、壮絶でした。
ゲジヒトと対談するときも、上っ面の空気を緩めるだけで、常に戦闘態勢なピリピリ状態。
口の端を持ち上げて笑顔を作るけど、笑ってないのです。
アブラー博士、怖かった。
新聞を持ち上げる仕草ですら、ナイフを投げつけそうな勢いなんですもん。
憎しみというか…殺気ですね。
だからアブラー博士が、憎しみに満ちた声で怒鳴るシーンでは、毎回客席でビクビクしてました。
なにか、飛んできそうな気がしたんだと思います。
松重さんは、ゲジヒトの上司の声も演じられました。
ゲジヒトに命令する立場の方なので、こちらの声も厳しさを感じます。
…松重さんのやわらかい声は、今回あまり聞けなかったの、かな?
(アブラー博士によって、掻き消されているのかもしれませんが)
ステージ上に登場したロボットで、一番好きなのは花売りロボットのアリです!
大きさも動きも、それに声も、めっちゃカワイイんですよー!!
ゲジヒトに花を買ってもらった後、名前を聞かれて応えるシーンがとにかくツボでした!!
(台詞の内容は正確ではありません)
ゲジヒト「名前は?」
アリ「アリです。毎度アリー♪」
ダジャレゆった!ダジャレゆったよー!!と、1人客席で萌えてました。
アリは、ゲジヒト殺害に利用されてしまうのですが、この2人のやりとりは和むんです!
ゲジヒトはアリに腹部を撃たれた後も、しばらく動いてアリのことを心配します。
親が子どもの身体を気遣うように。
たまらないんですよねー!アリとゲジヒトのツーショットは!!
ロビタとゲジヒトのツーショットも好きなのですが、萌えるのはアリとゲジヒトなんです!
原作マンガ『PLUTO』を読み直しました
部屋を片付ける際に、手放してしまっていた、マンガ『PLUTO』。
今日買ってきて、全巻読み直しました。
すごいなぁ…。
好きだなぁ…。
という想いが、ひしひし湧き上がってきました。
舞台『プルートゥ PLUTO』を観終えてから読むと、マンガの世界をより身近に感じる気がします。
舞台に登場したキャラクターたちは、特に!
物語に吸い込まれて、一気に8巻読み終えたほどです。
舞台を観て、脳内で追いつけなかった物語を、マンガで補完できました(多分)。
サハドがなんでプルートゥになった(なったというか…プルートゥの体内に移された?)のかとか、サハドが描いていた花畑や育てていたチューリップのことも。
ステージでも流れるのですが、花屋の店員さんが語る、サハドのお話が好きだったので、しっかり読めて大満足です。
アブラー博士と天馬博士の関係や、アブラー博士だと思い込んでいるゴジというロボット、それからボラーという反陽子爆弾を抱えたロボットのことは、マンガでじっくり読まないとこんがらがるなぁ…とか。
ゲジヒトがロビタと出会う場面も、マンガにしかない台詞があるので、そこを何度も繰り返し開いては読みました。
地球が終わっても、おまえを離さないぞ
もちろん声は、寺脇さんの二枚目ボイスで!←コラ
原作を改めて読んでみて、驚いたのは…「え?ゲジヒトってマンガでもアリに殺されるの?」でした。
私ずっと、花屋の店員ロボットのアントンが、運河から現れた何者かによって、アリのように壊された状態で、ゲジヒトを殺害したんだと思ってたんです。
でもよく見たら、顔の形が違うんですね。
アリだったのかぁ…なんかショックだ。
今日補完できた情報を持って大阪公演へ行ったら、また舞台の世界に近づけるかな♪と、ワクワクしてきました!!
2月が楽しみです!!
>公式サイト様⇒森山未來主演『プルートゥ PLUTO』公式|Bunkamura