cometikiの9割は寺脇康文さんで、できている

私の9割は寺脇康文さんで、できている。…ので自然と思考が寺脇さんにつながっていくのでした。イラスト、日々のあれこれをまとめていきます。

ドラマで寺わんこが見れたらいいのにな、という妄想。

妄想寺脇さん 寺わんこ2 2015年5月30日

妄想寺脇さん 寺わんこ2 2015年5月30日

 

 

ドラマで寺わんこが見られぬものか、と妄想してみる。

先日の『こんな役の寺脇康文さんが見たい、という妄想。』以来、妄想に拍車がかかり、現在は「ドラマで寺わんこが見られぬものか」と考え中です。

 

ラジオ『桑田佳祐のやさしい夜遊び』の代行DJで、久しぶりに薫ちゃんの声を聴いたからでしょうか…陽の気に溢れた、寺脇さんが見たくなってます!!

 

 

地球ゴージャスの舞台では、わんこ系の寺脇さんが観られるのですが、映像のほうでも見れる機会があるといいのになぁ…と。

そして、わんこ系を極めるなら、地球ゴージャスの舞台『HUMANITY(ヒューマニティ)』のように、耳もシッポもガッツリ装備された"寺わんこ"をっ!!是非っ!!

 

>舞台『HUMANITY』観劇後の感想はコチラ

 2006/05/26 : 舞台『HUMANITY』観劇記録 in TOKIO

 2006/06/24 : 地球ゴージャス公演vol.8 舞台『HUMANITY』観劇記録 in OSAKA

 2006/06/06 : 地球ゴージャス公演vol.8 舞台『HUMANITY』が好きっ!

 

 

とはいえ…『HUMANITY』の中でも、寺わんこ化されるのは"夢の世界"での出来事。

現実世界で寺わんこ化されるのは、やはり難しいのかな?

 

 

ファンタジー設定なら寺わんこ化してもいいんじゃないかと!

ファンタジーっぽくすれば、現代でも寺わんこが見られるんじゃないかな。

ただの犬ではなくて…人間を厄災などから護るための…神獣。

ずっと昔から生きていて、陰ながら人々を護り続けている。

 

現代でどのように生きているか、設定が定まりませんが…過去の物語なら少し、思いつきました。

妄想物語、書いてみます。

 

妄想寺脇さん 寺わんこ1 2015年5月30日

妄想寺脇さん 寺わんこ1 2015年5月30日

 

 

 

大きな大きな山の、森深く。

息をひそめて、俺は生きている。

本当は村で生活したいけど…俺は見た目が違うから、ダメなんだ。

 

茶色い毛とか、獣の形の耳や尻尾。

普通の人にはないものを持ってるから、「化物」と恐れられて近づけない。

目を合わせたら、喰われるだとか言われて…。

人間を食べたいだなんて、一度も思ったことないのに。

 

懸命に生きている人間たちは、キラキラしていてとても綺麗だ。

俺はその姿を見るのが、とても好きで。

困っていたら、力になりたいとも思うんだけど…。

 

 

「もし!少々尋ねるが、ここの主はどちらかな?」

 

 

樹の上で悶々と考え事をしていた俺の耳に、人間の声が飛び込んできた。

少し歳を重ねた、男の声だ。

俺は勘付かれないよう、用心深く気配を消して、葉の間から男を覗き見る。

 

 

「少し話がしたいのだが、姿を見せてはもらえぬだろうか?」

 

 

白い装束に、錫杖を持つ男は、穏やかな落ち着いた声で語り続けた。

ただの人間ではない…その空気感が、俺の中の警戒心を上昇させる。

「殺されるかもしれない」と、思った。

 

男が「ふっ」と、息を吐く。

 

 

「ワシは験者だが、お主を倒しに来た訳ではない。村人に話を聞いて、興味を持ったのだ」

 

 

この場所は村から最低でも、丸一日はかかる場所。

だから、今まで一度だって人間は入ってきたことがない。

興味を持ったってだけで、わざわざやって来るだろうか?

 

近づかないほうがいい…そう判断したとき、鼻先を甘美な香りが走った。

 

 

「土産も、持ってきたんだ。鳥肉が好きらしいというのでな、無理を言って1羽わけてもらった」

 

 

バサリと樹の根本に置かれた鶏は、森に住む野鳥よりも美味しそうで、自然と俺の喉が鳴る。

食べたことはないけれど、本能が"美味い"と告げていた。

今すぐに飛び出して、かぶりつきたいけれど…男の目的はなんなんだろう。

冷静な部分が、警告を発する。

 

「化物」と呼ばれている俺と、話したい?

でも、こんな森の奥まで、1人で来てくれた。

でも、俺の姿を見たら殺さなきゃ…って思われるかも…。

でも、お土産まで持ってきてくれたんだし…。

でも、でも、でも…。

 

頭の中で考えている内に、辺りは真っ暗になっていた。

男の気配も、消えたようだ。

俺は少しガッカリしながら、樹から降りた。

 

鶏肉に手を伸ばした瞬間―…

 

 

「なんだ、そこにおったのか」

 

「?!」

 

 

すぐ後ろで男の声がして、身構える。

見ると、男は樹の根元にある岩に腰かけて微笑んでいた。

気配は消えたと思ったのに、なんで居るんだろう?!

 

 

「お主と同じで、ワシにも気配を消すことくらいできるよ」

 

 

ジリジリと後ずさる俺に向かって、男が「ぷっ」と吹き出した。

 

 

「ワシはそんなに、お主をとって喰いそうに見えるかい?」

 

「あ…」

 

 

その言葉に、村人から「化物」と呼ばれて怖がられていた、自分の姿が重なる。

見かけだけで判断されて…いつも辛くて、悲しかった。

 

 

「いや…その…。俺、こんなだから…」

 

「ふむ。人ではないようじゃが、妖の類でもあるまい?」

 

 

暗くても、獣の形の耳や尻尾は見えているハズなのに、男は一向に怖がらない。

逆に俺を怖がらせないよう、男は指一本すら動かさずに話の先を促す。

その気持ちが嬉しくて、俺は自分のことやこれまでのことを、一生懸命に話した。

 

この地に住む人たちが困ってたら助けたいこと、けれどこの外見の所為で近づくことすらできないでいること。

人間を食べたいと思ったことは一度もないし、「化物」と呼ばれているけれど、できるなら人と関わっていきたいことなど。

 

俺は話の途中で、樹の根元に座り込んでしまったけど、男は微動だにせずただ相槌を打って、聞いてくれた。

 

 

「ははっ!それで夜に、村へ行くようになったのか」

 

「だって、はっきり姿が見えなきゃ平気だと思って…」

 

「じゃが、お主の目は暗闇の中で光ってしまうからのぉ。逆に村人たちは、怖かったかもしれんなぁ」

 

「そんなぁ…俺、怖がらせるつもりなんて…」

 

「ああ。お主は、よくやっているよ」

 

 

男の労いに、胸がほわりと温かくなって、俺は思わず俯いた。

 

 

「俺…これから、どうしたらいいかな?」

 

「人と、関わってゆきたいか?」

 

「うん」

 

「よし!ならワシが、少し力を貸してやろう」

 

「ホント?!」

 

 

嬉しくて、尻尾が自然と左右に揺れる。

男は「もう立ち上がっても、大丈夫かな?」と断ってから、樹の根元に置いたままだった鶏肉を手に取った。

 

 

「お主の好きなもの…そうじゃのぉ、この鳥肉を絶つことで、仮の人の姿を与えるというのはどうじゃ?」

 

「鳥肉を…絶つ?」

 

「もしも食べたら、今の姿に戻ってしまうがの」

 

「食べなきゃ人の姿のまま…ってこと?」

 

 

好物を絶って、願いを叶える…っていうのは、人がやってるのを見たことがあるから、すんなり納得できた。

男は鳥肉じゃなくてもいい…と言ってくれたけど、大きなお願い事を叶えてもらうなら、大好物にするのが礼儀だと思う。

 

俺の返事を聞くと、男はなにやら呪文を唱え始めた。

次第に、耳と尻尾がムズムズしてくる。

 

自分の太ももを抓って、その違和感に耐えていると、森の中に朝陽が差し込んできた。

 

 

「ああ…綺麗な黄色をしておったのか」

 

「え?」

 

「勿体ないが、人の目には自分と同じ髪色に見えるようにしておからの」

 

「え?えっ??」

 

 

男の言葉に立ち上がって、耳と尻尾を触ってみるが、そこには何も無かった。

代わりに、人と同じ形の耳ができている。

「おおーっ」と、感動している俺に、男が笑いかける。

 

 

「その姿の間は、獣の姿ときの力は抑えられるが…人として生きてゆく分には、必要はなかろう」

 

「あ…ありがとうっ!!」

 

「後は…しばらくワシと一緒に、村の中で人の生活に慣れる練習じゃな」

 

「そ…そんなことまで?!」

 

「最初は、不自由なことが多いじゃろうからな。そのくらい、付き合うよ」

 

「ありがとう!本当に本当に、ありがとうっ!!」

 

 

 

それから山を下りて、男と一緒に村での生活が始まった。

男は、名前の無かった俺に"雄黄(ゆうおう)"という名前もくれた。

 

人の生活も丁寧に教えてくれてが、俺はうっかり鶏肉を口にすることがあって、その度に獣の姿に戻って慌てた。

男は「絶つというのは、無理かもしれん。だから、お主の一番嫌いなものを食べることで、人の姿に戻れるようにしよう」と、術に手を加えてくれたりもした。

 

そんな日々が、1年とちょっと続いた。

 

ずっと俺からのお礼を断っていた男だったが、村を出発する朝に「どうかずっと、人間を嫌わずにいてくれんか?」と願った。

 

あれからもう随分経つ…でも今日も変わらず、俺は人間が大好きだ。

 

 

― 終幕 ―